夜食小町/かめたろう
 
明け方には
虚無ばかり詰め込まれてはち切れんばかりに
食っても食っても満ちぬ腹
次は何を食べようかしら

舌なめずり
それを
照らすは仄かなひかり、庫内灯
暗闇に浮かび上がるは真っ赤な舌
ケチャップ垂らして
絡みき蠢き
酸っぱ甘いの大好きなの

気紛れにだったら
貴方の虚無も食べてあげようかしら
でも今日はダメ
油物が食べたいの
鶏の唐揚げが食べたいのよ
明け方なのに
しようがないでしょ

食べ続けて尚加速する食欲
戦慄く胃酸
荒ぶる手づかみ、、、おっと!?
これは赤子の頭くらいの大きさの何かでした
指に付いた冷たく白く凝固した脂までも
丹念に舐めとる仕草まさに小町

過食の罪悪感はちょっとだけもたれるけど
生きることは
食べることだよ。
そう教えてくれたお母さんはデブこじらせて死んだ。
バカね。
本当にバカね。
弔慰溢れてまた食べる。もう朝。
戻る   Point(0)