眠れない夜の下で世界と僕は/向 奨吾
転がった寝床は宇宙の底で
手帳の残りページは一桁になった
時代を象る歌手が耳元で泣くのに
チョコレートを食べたあとの罪悪感は
どこにもいかない
銀河は君の傍にいて
僕は一人
多次元座標に措いても特異的に一人
変換されれば行先は変わる?
ベクトルはどこへも行けなかった、かのように
澄ました顔で僕を乗せている
近似は精神的に歪んでいて
乾き切った誓いは 誰を願う?
壊れかけた細胞に耳をすませば
明日の声が聞こえるはず
飛び立てないのは それだけのこと
だから 幕は
唐突に 乱暴に 下ろされるべきなのだ
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