左目/瑠王
彼らはひたいに手をやる
私は左目をおさえる
彼らは両目でしっかりと見ている
私は右目(ききめ)を凝らしている
左目は未だ微睡んでいる
彼らは叫んでいる
声が脈をうち
ひとつの巨人を生成する
しかし私はまだ言葉を選んでいる
また朝を迎える
ボタンをかけ違える
たまらず私は左目を投げ捨てる
それを鶯(ウグイス)は啄むと
太平洋へ落とそうとする
しかし巨人がキャッチする
その両目で私を見る
掴んだものを差し出す
彼らはひたいに手をやる
彼らは叫んでいる
そして私は未だ左目をおさえている
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