名もない魚/小川 葉
 


つなみでうちあげられた
なもないさかなも
ひさいしゃの
ひとりなのだろう

なもない
さかなというなの
さかな

しかしそのさかなにも
ちゃんとなまえがあって
あのうみのむこうで
くらしていたのではないだろうか
かぞくとともに

きえてしまった
うつくしい
かいがんのまち

さかなをうみにかえす
きりょくもなく
どろのうえでいきたえるのを
ひとはみていた


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