信念/小川 葉
ほんとうは
ほっとしたのである
ひさしぶりに
むすこをこうえんに
つれていった
そふとそぼがしんだときも
すきだけどきらいだった
ちちがしんだときも
ほっとしたのである
これからまた
むりをしなければならない
ちょうどそんなときに
ひとがしぬのである
そしてしばらくは
しごとをしなくていい
ひびがつづく
かなしみをのりこえるために
あまりむりするな
といって
わたしたちをやすめてくれる
それがしなのである
みたされていた
こころのそのふぶんが
あるひすっぽりぬけて
やりきれないひびが
すきまをうめていくのだけれど
このままではだめだ
といって
しんでいくのである
そうとうなむりをして
そのむりをするはずだった
わたしたちのかわりに
なぜしんだのか
わたしはこうえんでわらう
むすこのかおをみて
そのりゆうをゆるぎなく
しんじてしまうのである
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