しなやかに朝を迎えたい/いとう
 

魚たちは
丘に打ち上げられ
濁った空気を吸っている
けものも
けだものも
身を潜めて眠っている
鳥たちはどこか遠く
姿を見せない

灯りのない街を
明るい部屋で夢想する
シャワーを浴びて
コンロの上の鍋が
暖まるのを待ちながら

たいへんなことが起こったときに
たいへんなことになったと騒ぐのは遅い
それはすでに
たいへんなことになっているのだから

当日の夜でも営業する居酒屋
翌日にはそこで宴会があり
輸送機関も回復
二日目の夜の井の頭線
人の津波も元通り
押し詰められて駅を降りると
裏道のラブホテルにカップルが入り
家に帰れば郵便受けに
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