刻んでやる。/電灯虫
 
という生命の入口担う者たちから、
極めて模範的な声援が贈られる。
白い箱と赤いリボンという個性捨てたプレゼントは、
彼の者たちからのクレームの嵐。
自分の所有物が自分の価値を決めると、
信じて疑わないそのこびりついた垢は、
匂いすぎて鼻腔細胞すら拒絶する。


だから。


不自然なくらい純白なタキシードに身を包む、
双子の自分が肩を叩く。
歌のお兄さんお似合いのさわやかな笑顔で、
「てきないーじー」と下手な英語で語りかける。
常識代理のそいつは嫌いじゃないが、
本心捨てたその英語は鼓膜が震えない。


だからこそ、

中の世がどうだか関係なく、まさにここに在る存在全てで、
ここに在る骨で組み立て、皮という皮を釘で縫いつけ、
顔を前面に打ち出して、ギラギラの銀色の中で、
剃刀を力いっぱいに握って、拳の山という山で、
滴る血を合いの手に、激しい鼓動にまかせっきりに、
葉巻くわえた渋めのカーボーイがくれる、
「好きにしろボーイ」といわんばかりのやれやれ視線の傍らで、

ギッタギタに刻んでやる。

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