調べ/電灯虫
 
鼓膜にまかせっきりにせず、僕という存在をもって、
世界の音を聴けるはずで。


普段走っちゃいけないと言われているからか、
一般的禁止が、
時間的に限定的に解除されたその暇に、
そろそろ大人だと自認してても、
我ら男はどうせいつまでも子どもで、
廊下で打ち鳴らす打ちっぱなしのコンクリを蹴り上げると、
クラス1のイケメンとか、
剛田さん顔負けの腕っぷしとか、
眼鏡で小さい博士っぷりも、
ブイヤベースの極上のスープを醸成し、
皆で等しく舌鼓を打つ。


光の淡さが紳士然として、
決して邪魔をせず、しかしながら闇を優しく薄く拡げ、
ベッドの冒頭部分だけは譲れないばか
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