恋文/涼深
 
―― 東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ 梅の花
                主なしとて 春な忘れそ ――




行かないで
行かないで


こんな恋文なんて要らない
貴方のいない春なんて
なくなってしまえばいい

咲き誇ることなど無意味で

貴方の願いとはウラハラに
この身が朽ちることを願ってしまうから


行かないで
連れていって

どうか
どうか

ただ傍に居たいの
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