人形愛護センターにて飛んだよ/一 二
孕む体になっちまったもんで…」
いつものお得意さん…
俺と同じ性癖の男だ
こいつの人形は
ポコポコ子供が産まれる
何故そうなるのかを俺は一切考えない
俺はただ規則に則り殺処分するだけ
少女を
殺し
焼き
灰と塵にするだけ
でも時々
誰かが耐えられなくなるから
誰かが飛ぶ
「ただいま…」
我が家へ帰る
定時後1時間15分の道程
7時半には家に着く
「おかえりなさい」
家には愛玩人形の姿
一人で俺の帰りを
一日中、家から一歩も出ず
夕食を作って待っててくれる
俺は一緒に飯を食い
一緒に風呂に入り
一緒のベッドに入る
瞑目すると浮かぶ
哀れな少女達
その姿と嗚咽に震えながら怯えながら
体温と肉体を貪るうち
俺は睡魔の虜になっていった
意識が途切れる瞬間
誰にでもなく呟く
「今日も同僚が飛んだよ
俺もこのままじゃ
いつか飛んでしまうよ」
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