人形愛護センターにて飛んだよ/一 二
 
昼休みのことだった
窓を過る影と鈍い音
次の瞬間に聞こえる悲鳴と溜息
今日、同僚が飛んだよ

別に珍しいことじゃなかった
俺はイヤホンをつけていて
隣の席の同僚は耳栓をつけていた
取り乱すのは新入りと外部の人間ばかり
昨日も同じことがあったばかりだ

ここは人形愛護センター
浮浪人形の終の棲家
飽きられて要らなくなった
愛玩人形の焼却場
官営の少女地獄

主人のいない人形は全てここに集められる
保護期間は一週間
しかし迷い人形のみの処遇
主人に持ち込まれた人形は毎週木曜日の処分だ

ケージにみっちり詰めてから
ボタンを数回押す
人形はベルトに乗ってガ
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