ダブルスタッカート/馬野ミキ
責任感のある司書が悲しそうな顔をしているのでぼくも悲しい。
放課後に僕のことを好きだという詩人の卵に会いに言って何も言わずに抱きしめたら彼女泣いてしまった
なんてことをしたんだろう
それから彼女はもう二度と詩を書かなくなった
「ミキさんは詩がもっと広まればいいとか言ってるけれどミキさんのせいでみんな詩をやめていく」と人に言われた
傷口のない両手から血だ
東口のロータリーで。
「わからない」とかメール送らないでくれる?
って何故俺が知っている時にはみなも知っていて
俺がわからなくなると皆もわからないと言い出すのかそれが不思議
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