雪原の中心/hossy
どこまでも続く白い平面
凹凸は強い直射で覆われ
青空に浮かぶ太陽は
硬調なハレーションをおこす
サングラスをかけなおし
緑灰色に変わった景色を見回すと
平板な順光線の姿と
影絵のような逆光線に
誰もいない地平は映えわたる
逃れてきたのかもしれない
距離を測るのに疲れきった
日常の仮面から
街の雑然とした風景は
けばけばしい無彩色ばかりで
身体に蓄積されるのは
ただ重い澱ばかりだった
それに引き換えどうだろう
澄み切ったひろがりを吸い込みながら
こうして寝そべってしまえば
誰もいない大地の中で
私だけの中に
ひたれることが出来るのだ
内なるものはけっして狭いものではなく
この風景に共鳴することができる
そういった限りないものではなかったか
乾いた喉を潤す
あの一滴を過ぎてから
幾ほどの時がたっただろう
重なりあう雪原は
変わらずに包んでくれる
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