(自己紹介のかわりに)/古溝真一郎
しまう夢
俺は男達の夢を叶えるために日夜エロビデオ屋を巡っては断られつづけている
妊娠線のある女とセックスしたい男達のために
騎乗位でつながりながら女の母乳を飲みたい男達のために
俺はくじけない 射精したあとに優しいため息をつく中年男のあるがままの夢のために
俺は一着しかスーツを持たない営業部員つまり仕事はできない
セックスは詩だ、セックスは金になる、だから詩は金になるんだと断言して憚らない
たった1度の発射の度に2000円儲かるのならば
1篇の詩で世界を無限大にできるらしい詩人ならばいくら儲かるだろうか
俺はそのことばかり考えていてつまり仕事ができないのだ
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