表層雪崩/hossy
微熱を帯び逆光にかすむ夕暮れに
倦怠と人々は吐き出される
降ろされた日よけを通して見える
前と似た次とも違う底だった
何かに押されているのか
何に惹かれているのか
無数の粒子をもった可塑物質が
単細胞生物の偽足のように
出口に向かい伸びていく
やがてその細くなった部分はぷつりと切られ
模様の入ったしずくを残す
スクリーンに映る無声映画
それとも水槽越しの魚の群れ
うなされた夢を通過する
半透明の幽体だ
往きすぎる横顔はみな
同じ方向にあやふやな視線をおくり
同じ歩調で流れゆく
埋没することに虚しさも感じず
そうした無音状態は
アナウンスの
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