眠り/小川 葉
つまがねむり
むすこははなうたをうたい
やがてそのはなうたも
いつしかやみ
ねむりがおとずれている
はやくねむりなさいとしかりながら
ねむってしまったつまのこえも
はなうたをうたいながら
ねむってしまったむすこのこえも
いまはすこしずつとおくなって
そのねいきをきいている
わたしというわたしも
いつしかはじめからそうだったかのように
ねむってしまって
いつまでも
それまでのことが
それまでのままこいしくて
やがてあさがくるまで
ねむっている
あさがくればきたで
まいにちのにぎわいを
いのちのひでもやしながら
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