待つ/乱太郎
 

言葉足らずの季節がやってきて
降り注ぐ涙も白い息を吐く

部屋の暖炉で暖まっていたのは
自分一人だけ

棚に飾ってある詩集が
染みで黄ばんでいくのにも気がつかず

突然起きた表層雪崩に
夢の夢も覚め

聞こえなくなった携帯電話を
ただ握りしめている

あと二週間もすれば
探しにきてもらえるだろうか

春を呼ぶ涙
待っている僕

戻る   Point(18)