歩道橋についての夕方と朝方/ブライアン
 
していた。不透明な山のほうに、ダンプカーは走っていく。歩道橋から見える景色はいつも変わりなかった。まっすぐに伸びた国道、広々とした田畑。点在する住居の群れ。
 歩道橋から見えるところに、好きな女の子の家があった。同級生の両親は小学校からの幼馴染だったらしい。世の中とはそういうものだ。大人になったらきっと、その子と結婚するだろう、と思っていた。それは20歳くらいで。彼女の家の前を通るたびに、得も知れない妄想を抱いていた。中学生になって、一度だけその子の家に遊びに行ったことがある。その日、何を思っていたのか、ほとんど覚えていない。その日のことを思い出すと、歩道橋の上から見た彼女の家のことを思い出す。
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