言い表せない/寒雪
 
ないくらい
たくさんのぼくを表した言葉で
きみを覆い隠してしまいたかった
でもぼくの中にある感情の
とてつもないスピードで彷徨う
情けない様があまりにも混ざり合ってしまって
言葉がどっかにいってしまって
干上がった井戸みたいに空っぽで
何も言わず立ち尽くすぼくは
悲しみに塗り潰されてしまっている
知らない人が見たら誤解するに違いない


広辞苑はあんなに分厚いのに
ぼくはその万分の一も理解してなくて
自分の今をぴったり言えなくて
もどかしさに
ぼくは思わず身をよじる
そんなぼくを上から見下ろしている
きみは薄ら笑いを浮かべて
優しくぼくの頭を撫でているかもしれない
なんてことを考えている
そうであるといいと思っている

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