言い表せない/寒雪
 


きみのこころが冷たくなった夜
横たわった気持ちを抱え込みながら
静かに目を閉じて仰向けなきみを
見下ろしてぼくは見ているはずの
きみの輪郭をおぼろげにしか
コピーすることが出来ない
月が何センチ移動したのか
雲がどれだけ形を変えたのか
わからないくらいの時間
ぼくときみの間に漂う
質感を伴った不躾なまでの沈黙
手を伸ばせば
きみのおぞましい肌の感触を
はっきりと確かめることが出来るのに
理解してしまうとぼくが
ぼくでなくなってしまいそうで
ぼくの腕はぼくから
離れてくれないでいる


本当は
こんな時はきみのベッドを埋め尽くす
大量の花に負けない
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