風が止まって/甲斐シンイチ
 
乾いた表情 無色の空

20.8%の酸素に 宇宙船が浮かんでいる

あとどれくらいしたら 見えなくなるのだろう

止まっているのに 居なくなるんだ

さようなら 僕は地球人

風が止まって 1枚の写真になった 君の姿

このまま送りたいと 切なく想った

眼差しの中 交わした羽ばたき

星座のひとつになって輝いた 無名の惑星

還ってくると分かっていても 見つめ続けている


さようなら。 


おかえり。 


ありがとう。


幽かに揺らいで見えた時

柔らかな風が 頬を撫でていた
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