嘔吐/
乱太郎
子核の周りを回っている。/
終わりなき、とはよく言ったものだ。始まり
さえ憶えていないのに。不確かなのは、量子
の世界だけで無い。シュレーデンガーの猫は、
僕の腕の中でいびきを掻いている。今頃になっ
て物理学者になったみたいだ。砂の方程式は
書けそうもないが。解はどこにある。いや、
もうよそう。謎のままでいい。最後の嘔吐は
きっと僕を素因数分解してしまうだろうから。
/音が消えていく。ばら撒かれた痰に清
掃されたみたいに。/
戻る
編
削
Point
(9)