春行き列車/
朧月
ほんとはね
で始まる話しは
電車が通過する風にとぎれた
あれって枯れてるのかな
ホームの外側の木を指す
一瞬
春の景色がふたりを包むから
黙って乗り込む
同じむきにゆられて
じゃあねっていうまで待ってみる
君の告白
終わったことは といいかけて
アナウンスにまた黙る
沈黙は やはり正しい
花びらみたいな桃色の
少女が立っていた
入り口付近の空気だけが
三月の風だった
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