今はもう、いない/番田
いのにと思っていた
古い音楽をプレーヤーから流している
海は金色のように輝いていた
言葉もなかった 砂浜でタバコに火をつけた
私は 少しだけ寂しい
ふいに食べ物を探した
持っていたはずの言葉を無くしていた
夢なのかもしれないと思っていた
早く夏になればいいのにと
ラジオのスイッチを入れた
何だか 寂しい
これはどこの国の言葉だろう
ノイズが私の回りを包んでいた
ラジオを ぼんやり聞いているのかもしれない
*
はじめて買った 雑誌をめくっていた
友達も 恋人もいなかった
釣り竿だけが傍らにはあった
もう名前も
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