エニー・エンター・キー/
小川 葉
どのキーを押しても
同じ結果になるのだから
僕は選択しなかった
放課後の
誰もいない神社
君が迎えにくるまで
空はまだ青く
君の歌声のキーは
雲よりもっと高く
気がつくと
いつも僕の側にいた
あすの朝一番の
汽車に乗る
約束を君として
この街を去ったのは
君だけだった
お父さんの商売が
という理由で
僕はキーを押した
何も選ぶこともなく
君のいない
ディスプレイの空はまだ青く
雲の上から
聞き憶えのある歌声が
聞こえた気がした
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