時をかける少女/オノ
 
少女の掌で胡桃が弾けた。
【791】と少女の手首に表示された。
残り回数の多いタイムマシンは安くない。
800万円ぐらいする。
「それでも、これを使うしかなかったのだから。」
少女はため息混じりにつぶやいた。
彼女には変えたい過去が多すぎた。
少女は試しに少し前の―いい加減な日付にワープする事にした。
「2010年7月2日。」
少女が駆け出すと、周囲の景色が歪み、サイケデリックな模様、
歪んだ数字、オーロラのような波、様々なものが少女の傍らを
信じられない速度で通過していった。
少女は思わず目を閉じて、その轟音と、滝のように流れる視覚が
去っていくのを待った。
蝉の声が
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