小鮒/小川 葉
 


わたしたち
もうこんなところまで
きてしまった

はるのおがわをおよぐ
こぶなのむれをみて
ひとりつぶやいている

かつてこぶなだったという
かくしょうはないけれど
みているだけで
なぜかなつかしい

みあげるとそら
うまれたばかりのいのちが
そこかしこから
あふれだしている

たくさんの
いのちをみおくった
そのあたりから
じゅんばんに

いくつもいくつも
はるがうまれ
こぶながおよいでいる


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