トリガー/甲斐シンイチ
自己啓発の類の本が驚くほど出版されている。
『〇〇で人生が一変する』
『成功する〇〇の秘訣』
『もう迷わない〇〇の整理術』etc...
とりわけその中でも哲学書の内容を百倍に薄めたような訳書が売れている。
読書というのは愉しむものであって、それによって何かが変わるとか、
何を期待しているのだろう。
本で人生が変わるのならそれまでの人生を哀れむしかない。
変わるのは、そもそもがそういう性質をもっていたからだ。
お人好しはどう頑張っても、人殺しをどう足掻いても、そういうもの。
トリガーが引かれるだけなのに。
本がその人間のDNAになって、新しい人間に創りかえる、なんてこと
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