まばたき/
松本 涼
雨を吸った土の匂いの中に
小さな足音は染み込んで消え
痩せた川の澱みで回転する
小枝に自身を重ねている
どこでもないその場所で
世界はゆっくりと
瞬きをしていた
見上げれば黄色になった葉が
まるでそれに合わせるように
次から次へと舞い落ちる
誰かの手を握ることに
何の躊躇いもなく居たのは
いつのことだったろう
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