雪の日/salco
灰色の身篭った天空の核に
ぼんやりと繭を透かして
眠れる生命の淡い黄金が
そこだけ温度を伝えている
しかし雪は後から後から降っている
無心な子供のダンスのように
無数の白で地を照らしながら埋めて行く
延々と続く柵向こうには一本の道
白夜と同じく、雪によって夜は
大気に染み込む事が出来ない
今夜、
私は幻想世界で覚醒しており
零度に晒した眼球は水晶となり
天と地に介在する白だけを
生命を持つかのような降雪を見ている
凍りついた現実世界は
熱にうなされて狂おしくまどろむ
此処は画布の国より一層優しく神秘的だ
雪は後から後から降り、そして
足音を持たぬ影のよ
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