不在のあなたに/非在の虹
 
不在のあなたに手紙を書こう。季節はすっかり夏になったと。
あの苦し紛れの日々は終わったと。
なだらかな背に流れる
夏の日差しは
存在の側から送る今生の別れなのだよ。
不在のあなたは私を苦しめるために
私に訪れるのではない。
むしろ口笛と共に 時に古代のコロセウムの
時に秋刀魚の匂いまでさせて
モダニストの言う
脳髄の快楽のために 花なぞもまきながら
やってきたのだ杉の花粉のように軽く。
鼻炎なぞで鼻をヒクヒクさせていたんだ。
陰気な書物の中に
あなたは住居を構えたわけではないだろう。
あなたの好きな場所は本当は
公衆便所か みだらな少女の夢だろう。
不良の犯罪者の病人の半ば病人の脳髄に
宿って明るい歌を歌っているから。
わたしにはあなたの歌は悲しく聞こえない。
そろそろ下山したらどうだろう。
高い所と言えば 
最近東京ではスカイツリーというものが出来ようとしているよ。
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