恋に落ちて/……とある蛙
電車がすごく遅れようと
たとえ○がいなくとも
たとえ図書館が閉まっていても
□は使い古しの合羽の中に
ビニール袋にいれた本を抱え
ビニール傘を斜めにさして
遅れて動かない電車に乗って
そして、嵐の午後でした。
○は□にほほ笑んだ
とても惨めな格好で
合羽もかなり草臥れていて
全く冴えない□です。
とにかく大学に向かったのです。
図書館の前
大きな銀杏の木の下に○がいて
そして、□にほほ笑んで
二人の話が始まったのです。
どこにでもある二人の話
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