(この世は物質に囲まれて暮らす)/
「ま」の字
止んだといっても
山の上では吹雪が未練げにとぐろを巻いて
こちらを窺っている
お日(ひい)はぼんやり鬱ぎ顔で
普段はけしておがませぬ白い体を曝したまんま
いいや
この地ではおれらだけ生きている
吹雪も日(ひい)も死物(しにぶつ)だ
静寂(シジマ)に青い陽がさし
くくる くるく と
底に吹き廻るが
雲に迫って
透きかがやく日の尻が山に附くと
(麓いったい 影に入る)
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