野晒し(習作十句)/古月
 
同じ根で咲けば同じ朝に腐る

昼は壁の女夜は窓の女

自ずから喚んだものにこそ招ばれる

巷間を低く流れる旧い唄

油絵に塗り込めた壁を塗り込める

金魚鉢の中で猫は水になる

鏡台の中の暮しも痣と創

野晒しの犬の首まだ飢えている

片隅で椅子は女を生きている

化けて出て川の柳に空きがない
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