失われてゆくのは/折口也
失われてゆくのは
流れ去る時だけではない
人の姿も知らぬ間に失われてゆく
まるで風の吹き抜けてゆくかのように
私の目の前にあなたがいることに
慣れすぎてしまっているから
今あなたのいないことが思いつかない
ある日、突然その日はくるとしりつつも
私がいつかいなくなる日に
誰か、気付くだろうか
ひとひらの花びらが散るように
誰も気付かないとしとも構わないけれど…
私の目の前にあなたがいること
あなたの目の前に私がいること
それはほんのつかの間でしかないから
できる限り言葉を交わそう
例えそれが諍いでも
記憶に深く残るならそれでもいい
最後の風が吹き抜けて
消えてしまう前に
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