箱入り(習作十句)/古月
 
少女の瞳輝かずただ光るのみ

さかしまを覚えし稚児の祝詞かな

箱入りの折り目正しく折れ曲がる

浜のすな浜にあらずと身投げせり

水中火ありとあらゆるものを見よ

墓碑銘は裏返るなり空と星

九段下亡と泣かれぬ人の憂し

割れ窓の奥降り止まぬ雨硝子

人目無き沼の水面が立ち上がる

攫えども攫えども骨神の胎

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