白い朝/蒼木りん
 
扉を開けて出て行った
それぞれの場面を生きている人を思うと
とてつもなく
ひとりが寂しくなったので
もし
きょう会社が休みだったら
料理をたくさん作ろうと思った
一緒に食べる人のことを思うから寂しくない
とり残されてもここに居たかった

夕刻には道に出て
向こうからとうとうと
帰って来る姿を見つけるまで

私もここから出て行ってしまったら
このとてつもない気持ちを
捩じ伏せられてしまう

ああ
白い空
いつもの雨の朝なのに
なんで今朝はこんなに寂しいんだろう



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