回転寿司/天野茂典
んかないのだ。すべては職人によって握られる。私たちは高度に管理化されたシステムをたべているのだ。
シジフォスのように山頂に石を担ぎ続ける不毛な労働のように
ベルト・コンベアーは疲労を知らない。
繰り返される日常のなかで、疲労してゆくのはわたしたち人間なんだ。
ベルト・コンベアーのように油を差してうごきつづけるものではない。
だが、人生は回転寿司のようだ。回る、回る、回る、
回って、回って、回って、回る。食べ終わったらそれで終わりだ。次から、次へ、運ばれてくる皿、皿、皿。何枚重ねてもほんとうは満腹なんかにゃなりゃしないんだ。共鳴労働
、職人と客との暗黙の了解。回
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