屋台/森の猫
 
それは
冬 限定の屋台

あたしの
生まれた
県北の街
深谷市西島の
母の実家の前に
現れる

夕食前の
薄腹の空いた時間

銭湯のまん前の
母の実家は
タバコ屋さん

鉄板に
薄く小麦粉の溶き汁をひき
刻みネギと
紅しょうが のみ
それに
また 溶き汁をかけ

ひっくり返して
こんがりと焼く

フライ

そう呼んでいた
いわゆる
今のB級グルメ

それを
新聞紙に包んで
ハイと渡してくれる

ぷ〜んとソースと
インクの匂いが
たまらなく
食欲をそそる

はふ はふと
熱々をかぶりつく

昭和の40年代の話

まだ
あるのだろうか

フライの
屋台



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