祈りたくなる夜/折口也
寂しさのあまりに
祈りたくなる
夜空の朧げな雲が
誰のためでもなく消えて行くのを
見つめていると
なんだか帰るあてもなく
どこまでも道が続いてゆくようで
騒ぎすぎたあまりに
祈りたくなる
暗い窓を見上げる一人の影
いつもの静けさが
こんなにもからっぽで
なんだか無性に
そのからっぽに消えてしまいそうで
何に祈るのかなんて解らない
何かが祈りを受けてくれるとも
思っていないけれど
ささやかな祈りが
明日を呼び寄せる
せめてそう信じたい
願いをこめて今日のドアを閉じた
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