珈琲/
寒雪
風が力強く吐き出した
産声が耳に痛い冬の午後
暖房のよく利いたカフェで
木目が美しいテーブルに
所在なさげに周囲を見回す
白いコーヒーカップ
黒い水面にゆらゆら映る
瞳の輪郭になぞるよう
ミルクを少しずつ落としていく
渦を巻き黒の柔肌に
白いミルクがのしかかる
野ざらしで孤独な軽トラックの
赤茶けた錆が次第に侵食して
黒は明るい茶色に変わった
砂糖を入れずに
そのまま口に含むと
想像している以上に苦かった
明日の舌はこの苦さを覚えている
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