苦痛の世界/冥鈴
 
煌めく光が眼に沁みる

窓から入る冬の風が

孤独を一層強調するものとし、

特定の季節を拒み
疎んできた私の
頭に厭世の種を撒く

思い出す冷たい記憶は
貴方の手と心
街の視線 温かいフリをした
偽善の広告

きつと苦しいのでしよう
私を見張る二つの瞳が
あらゆる場所でも
私を見つける二つの瞳が

如何して逃げようか
怪しく伸びる一筋の長い道から

もう我慢する所作も忘れた
貴方の言葉に舌を噛み
反芻する気持ちを伏せる

何を食しても
美味しくないのだ
全てが黒い色を持つんだ

眼を閉じれは広がる
苦痛の世界は
長い年月、私を縛り
解いてはくれぬ

月さえも

地球さえも

既に私の味方ではないのだ。
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