会話/寒雪
 
弾けてしまいそうな静寂の中で

ぼくに言葉を編み続けるきみの

柔らかな視線の上をぼくは踊る

心電図が奏でる脆弱な心臓の色

駅前のロータリーを何周も走る

同じ場所に留まらない二人の嘘

見つめ合う悲哀を背中に乗せて

羅列された暗号文を取り除くと

一つだけぼくの前に意味が残る

それだけのために二人は何時間

互いの心を盗もうと躍起になる

答えが正しいかさえ分からない

確認するとなくなりそうだから

自分の答えをただ見つめるだけ

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