見つめていたい 〜赤い心は〜/鈴木もとこ
 
どうか見つめ返さないで
あなたが眠りについた深夜
月より淡い光でそっと見守る私に

どうか見つめ返さないで
その赤い心は思ったより弱くて
すぐに隠れてしまうから

もしもほんの気まぐれでも
振り返ったのなら
哀れな虫は
地の果てまであなたを追って
太陽に焼け尽くされてしまうから
一緒にいられないのなら
どうか

夏が終わった今
満月に隠れてそっと涙を流す
何処からかかすかに聞こえる
笛の二重奏だけが知っている
想いを持って
秋へと廻っていこう

夢の中にいる私を
遠く離れた場所にいる私を
もう永遠に会えない私を
どうか見つめ返さないで
あなただけは


2004/10/9コトバコにて朗読
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