夢に関する権利/小川 葉
 


パリに夢を買いに行ったけど
留守だったので
インディアナポリスを訪ねた

私の夢の中の都市は
私が思い描くままの姿で
そこにあったり
なかったりした
都市ばかりではない
人が生きる権利さえ

カイロは霧に包まれていた
ただ見えないだけで
消えたわけではなかった

夢から覚めた朝
恵まれない外国の子供のために
募金活動が行われている
街に買い物しに行った
浮浪者たちが見当たらない
きっと夢の中のどこかの都市で
買い物でもしているのだろう
懐かしい家族と
夜が訪れるまで


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