ZONE/天野茂典
 
民の川柳を俳諧まで高めたことだ 川柳は川柳でいいではないいか
  誰でもZONEにはたやすくはいれない 芭蕉はゆきついた
  虚無の世界だ ぼくには耐えられない
  枯山水だ ぼくはもっと俗人が好き
  カラスよりかわせみが好き
  火と水が空き
  虚無を破ってZONEに闖入するのが好き
  石英のふる街で 酒を飲むのが好き
  貞心尼をふった 芭蕉のストイシズム
  ぼくはもっと享楽主義者だ もうすぐ来るだろう
  秋の暮れが そうしていつも決まってぼくはこの句を
  おもいだしてしまうのだ
  にがい胆汁とともに
  明日からぼくの誕生月 十一月がはじまるのだ
  ぼくも時間の旅人だが・・・・・



                  2004・10・31
 


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