こころ/寒雪
珍しく晴れ渡った青空の
ぼくから見てちょうど真ん中に
白く浮かんだ月の色を
穴があくほど見ていたら
こころが腐って
口から外へと零れ落ちていく
地面に散らばったこころを
慌てふためいて拾い上げ
無理矢理に飲み込んでみるけど
こころがいなくなっていく
スピードの速さに耐えられない
こころがぼくを拒否してるみたいに
こころがぼくには必要ないみたいに
こころを失ったぼくは
見上げたままの姿勢で
ただ何事もなく立ち尽くす
視線の先にいた月はいなくなった
動かないぼくの脇を
乾いた空っ風が通り過ぎていく
乾いた気持ちを干上がらせるように
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