「帰る場所を知らない」/ベンジャミン
 
波打ち際は
まるで境界線のように横たわる

砂浜に描かれる風紋も
うねりを繰り返す波も
その姿をとどめることはない

刹那、
わたしはわたしを見るように
視界いっぱいに広がる世界を見る

いつだってそう
わたしは帰る場所を知らない
きっと知らないほうがいいのだ

だって、ほら
人は気づかぬ間に進んでいる

残されることの無い足跡を記憶するのは
この世界そのものであればいい
   
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