poetarot(女帝のカード)保存版/みつべえ
 
種族の末裔だから。



あなたが、わたしの耳に。キーワードを告げると。わたしがわたしだと、思っていたものが、瓦解する。そんな、あやうさの、なかだからこそ。世界は、風に切られて。ほとばしる、血潮のように。美しい。



ユーカリの。葉にも似た芳香に、誘われて。迷いこむ路地の一角。古びた洋館の、生垣に。銀梅花は。星座のように、つらなり。わたしに向かって、いっせいに。発砲する。



踏みつけてください。その。権威の足で。群衆は、抗いがたく。あなたに、すり寄る。むち打ってください。それでも。あなたは、愛される。けれど。愚者だけは、雲のように過ぎる。超然と、ひとり。めざめて
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