目玉焼きと会話/榊 慧
 
死にたいとかどうしよう、どうしようもない、だから死にたい。で、死にたい。死にたいと本気で思っているのに生きているから死にたいんだよ。死にたいって一種のばかみたく唱えてるけどそれは本当に死にたいからなんだよ。ト―は俺にそう言った。
「死にたい」っていう選択肢を見つけて(いやそれは拾った、ないし与えられた)から僕はそれ以外の選択肢を探しても見つからなくなった。どこにもない。いろんなところを探す。文庫本の最後のページ、集めたポストカード、学校生活、同級生。全部俺に死ぬしかないと言っていた。死にたいがあふれていて僕はやっぱり死ぬしかないと声に出したりしてみた。死ぬしかない。死にたい。

僕は文章を書
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